Letter 行動:表現型ノイズを介した自己破壊的な協力行動 2008年8月21日 Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07067 生物界にみられる協力の多くでは、協力した個体はそこから生じる公共利益の恩恵にあずかることができない。これが特に顕著にみられるのは、他者を助けると自分が死ぬことになる自己破壊的協力である。もし自己破壊的な協力が遺伝的にコードされているとすれば、これらの遺伝子が維持されるのは、これらがその遺伝子をもつ個体群の一部のみで発現され、残りの未発現個体は公共利益を受け取るという場合のみである。表現型の異なる2つの集団へのこのような分化をもたらすメカニズムの1つとして、表現型ノイズが考えられる。今回我々は、自己破壊的協力を行う確率がより高い個体が、平均的により大きな公共利益を得るならば、発現ノイズを伴う自己破壊的協力が進化しうることを示す。我々が「分類(assortment)」と呼ぶこの状況は、環境が空間的構造をもつときに生じうる。これらの結果は、細菌感染における表現型ノイズの役割に新しい考え方をもたらす。すなわち、感染成立の基礎をつくる間に死亡する協力的な部分集団の形成を促進するのは表現型ノイズだという考え方である。我々は、このモデルがネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)感染の本質的特徴をとらえていることを実験的に示す。ノイズを伴う発現によって生じる自己破壊的協力行動は、分類という条件の下で進化することができ、自己破壊的協力はおそらく表現型ノイズの生物学的機能によるものであり、表現型ノイズを介した自己破壊的協力が細菌の感染では重要であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る