Letter

地球:先カンブリア紀/カンブリア紀境界に起こった表層水への硫化水素の放出

Nature 453, 7196 doi: 10.1038/nature07072

先カンブリア紀の終わり頃には、多細胞動物のような化石が出現し、その後のカンブリア紀初期には化石の量と多様性が一気に増えた。この事象は、「カンブリア爆発」としても知られている。この出来事の説明として考えられるのは、先カンブリア紀とカンブリア紀の境界(約542 Myr前)での環境条件の変化だが、これについてはまだ議論が続いている。本論文では、約542 Myr前という堆積年代を示す、層序的に相関のある2組の試料から得られた黒色頁岩中のモリブデン同位体比の特徴について報告する。先カンブリア紀からカンブリア紀への移行直後に、一時的に現れたモリブデン同位体比シグナルが見つかった。海洋のモリブデン循環のボックスモデルを用いて、このカンブリア紀初期にみられるモリブデン同位体比シグナルは、硫化水素に富んだ海洋深層水の強い湧昇によって最もうまく説明できることがわかった。今回の知見は、原生代の海洋が成層し深層水が硫化物に富んでいた長い期間が終わり、海洋循環に大きな変化したために、カンブリア紀初期の動物の適応放散が起こった可能性を示唆している。

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