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遺伝:切断が誘導する複製の際の鋳型の切り替え

Nature 447, 7140 doi: 10.1038/nature05723

DNA二本鎖切断(DSB)は致死的な結果を生じさせることもあるDNAの損傷であり、細胞の正常な代謝の際に、環境中の遺伝毒性物質や放射線照射の影響を受けて、あるいはプログラムされた組み換えの過程で自然に生じる。相同組み換えによるDSB修復は一般に、損傷を受けた染色体の切断部位の両端に無傷の二本鎖から情報が移されることによる遺伝子変換によって行われる。有糸分裂中の細胞では、遺伝子変換に相互入れ替えが伴うことは珍しく、修復部位より下流のマーカーのヘテロ接合性がなるべく失われないように、また、有害な結果を生む可能性のある染色体再編成が起こりにくいようになっている。複製フォークの崩壊や露出したテロメアの浸食によって生じたDSBには遊離末端が1本しかなく、相同な二本鎖DNAへ鎖が侵入し、それに続いて染色体末端まで複製が行われて修復されると考えられている(切断が誘導する複製break-induced replication;BIR)。DSBの2本の末端の一方からBIRが起こればヘテロ接合性が失われるであろうことから、DSBに2本の末端がある場合には、BIRに比べて保存性が高い遺伝子変換機構によって修復が行われるようBIRが抑制されていることが示唆される。今回我々は、BIRが、鎖の侵入、DNAの合成と解離を数回繰り返すことによって行われることを明らかにする。またBIRの際に、散在している反復配列内でDNAの解離と鎖の再侵入が起こると、染色体の再編成が起こる可能性があることもわかった。この動的な過程が、2本の末端をもつDSBの場合に、排除される侵入鎖をとらえることによりBIRを防止し、遺伝子変換を促進する働きをしている可能性がある。

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