Letter

胚化石のシンクロトロンX線断層顕微撮影

Nature 442, 7103 doi: 10.1038/nature04890

原生代後期末および顕生代初めの岩で見つかった胚の化石は、後生動物の最初の多様化段階にあたる動物の胚発生の最初期状態を保存していたため、大きな興奮を呼び起こした。しかし、露出した表面しか解析できない従来の非破壊的手法や、標本内部の単一二次元像しか得られない破壊的手法によって解析されたため、この研究材料がもっていると考えられる情報はまだ十分に活用されたとはいえない。今回我々は、シンクロトロンX線断層顕微撮影(SRXTM)を用いて、サブミクロンの解像度で完全な三次元記録像を得た。胚化石は、早期続成過程でのリン酸カルシウムによる含浸と外殻形成によって保存されており、X線減弱度の差異からこれら2つの続成作用相の分布について情報が得られる。卵割胚における割球の配置や続成的セメント質の三次元画像化から、円柱状割球が何であるかという問題も含め、これらの胚の特性に関する大きないくつかの疑問が解決した。左右相称動物である蠕虫様のMarkueliaの胚の前部および後部の詳細な構造からは、これが系統分類的に有棘動物(Scalidophora)に属することが確証され、この仲間を構成する動物門の間での体制の成り立ちについて新たな手がかりが得られる。もう1つの左右相称動物であるPseudooidesにみられる発生中の胚帯の構造は、独特な胚帯発生様式を示している。SRXTMは、破壊的手法に匹敵する解像度をもった非侵襲的な解析手法であり、どの程度の構造までが化石化されるのかという限界を探り、後生動物の門が出現した時期の胚発生について知る手がかりをもたらすものである。

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