Letter 遺伝子組み換え始原生殖細胞の生殖細胞系列伝達 2006年6月8日 Nature 441, 7094 doi: 10.1038/nature04831 始原生殖細胞(PGC)は精子や卵の前駆体である。ほとんどの動物では、生殖系列と体細胞系列との分離は、発生の最も早い時期に起こる現象の1つである。鳥類の胚では、孵卵開始から約18時間後には生殖三日月環とよばれる胚体外域にPGCが最初に認められる。発生開始後50〜55時間経つと、PGCが生殖腺へと移動し、そこで機能をもった精子や卵母細胞が作られる。これまで、どのような動物種においても、生殖系列に拘束されたままの培養PGCは報告されていなかった。今回我々は、ニワトリのPGCを単離し、生殖系列への拘束は維持したまま、培養して遺伝子組み換えを行えることを示す。さらにこのニワトリPGCを、体細胞組織に分化できる胚性生殖細胞へとin vitroで誘導できることも明らかにする。培養期間を長くしても、また遺伝子操作を行ってもPGCは生殖系列への拘束が維持され、しかもin vitroで体細胞への分化能を獲得する力ももつことから、発生生物学の新しいモデルとなる。ニワトリの胚は操作しやすいために、発生のごく初期の段階を扱うことが容易であり、PGCを胚の血管系へと簡単に戻せることが、このモデルの有用性を一層高めている。加えて、PGCのこういった特性によって、農業や薬学への応用のためにニワトリゲノムを操作する新たな道が開けるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る