Letter 神経冠の発生と咽頭の進化におけるSoxEの重要性 2006年6月8日 Nature 441, 7094 doi: 10.1038/nature04691 脊椎動物を決定づける特徴である神経冠は、脊椎動物の進化の起源にとって非常に重要な意味をもつ。我々は神経冠の進化を解明するために、顎のない原始的な脊椎動物であるウミヤツメ(Petromyzon marinus;ヤツメウナギ類)を用い、SoxE(Sox8、Sox9、Sox10)遺伝子ファミリーに着目して頭蓋顔面の発生の基盤となる分子機構を研究した。顎のある脊椎動物では、これらの遺伝子は神経冠の転写調節因子として重要であり、Sox9が失われると頭蓋顔面の発生に異常をきたす。今回我々は、ウミヤツメの2個のSoxE遺伝子が移動中の神経冠や後部鰓弓の神経冠由来の軟骨前駆細胞で発現されていること、その後に第3のパラログが軟骨膜と顎弓で発現されることを明らかにする。モルフォリノによるSoxE1のノックダウンによって、この遺伝子が後部鰓弓の発生に不可欠であることがわかったが、顎弓には影響はなかった。これらの結果は、SoxE調節因子の軟骨形成機能がヤツメウナギ類と顎口類の共通祖先にまでさかのぼれることを示しており、またヤツメウナギ類のSoxE遺伝子が独自の重複を経て顎弓と尾側の鰓弓とで異なる機能をもつようになった可能性を示唆している。今回の研究は脊椎動物の鰓弓の相同性の解明に役立ち、その共通の起源が脊椎動物系統の根源部分にあることを裏づけるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る