Letter

進化:後生動物の細胞系譜の単純性

Nature 433, 7022 doi: 10.1038/nature03178

発生の過程はきわめて複雑だと考えられているが、さまざまな生物分類群を包括してこうした複雑さを定量化し比較しようとする試みはほとんどなされていない。今回我々は生物の複雑さについて、発生プログラムとコンピュータープログラムとの類似性に基づく尺度を採り入れた。まず、細胞系譜のアルゴリズムの複雑さを、下位の系譜の構成に基づいて最短記述した系譜の長さで表すこととした。次にこの尺度を用いて、2つの門から選んだ4種の後生動物の胚について細胞系譜の複雑さを見積もった。すると、これらの細胞系譜は偶然生じると予想される系譜よりも相当度に単純なものとなった。さらに進化のシミュレーションから、細胞の空間配置に対する発生上の制約や細胞数を安定化するような選択が強くかかっているとすると、調べた胚の系譜の複雑さは進化しうる最も単純な系譜のものに近くなることがわかった。後生動物の細胞系譜が作られる際には、複雑さを低減させる選択が大きな役割を果たしたと思われる。

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