Letter

進化:島にすむトカゲの進化には海流が関与している

Nature 426, 6966 doi: 10.1038/nature02143

島は進化を検証する天然の実験室だと考えられている。その理由は、島では遺伝子流動が限られていて、隔離された状態で実験が繰り返されることで進化の過程を検証できるはずだという暗黙の了解があるからである。我々は今回、この通説には再検証が必要なことを示す。バハマ諸島にすむトカゲ個体群は、ハリケーンの到来により島に海水が押し寄せると、壊滅的な影響を受けうる。猛烈な嵐のあと、島には近隣の島から海を越えて分散したトカゲが住み着くこともありうる。高度の遺伝子流動は、分岐の原因となる遺伝子を均質化する可能性があり、進化を制約する力だとする見方が一般的である。突き詰めて言えば、遺伝子流動の程度によって、個体群と別の個体群との分岐の程度や、個体群が最終的に新種を生み出すか否かが決まる。本論文では、各島のアノール属トカゲ個体群の間に見られる遺伝子流動パターンが、この海域での主な海流によって最もよく説明がつくこと、そして海を越えた分散が進化に影響をもつことを示す。島々の全体をみたとき、遺伝子流動が大きいほど適応度に関連する形態の分岐度は少ない。以上の結果からみて、アノール属トカゲの適応的多様化はハリケーン後の海を越えた分散によって制約されており、また、この適応放散の古典的な例には海を越えた分散が、重要だがこれまで確認されていなかった役割を果たしている可能性があると考えられる。

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