Letter

物理:低温のカーボンナノチューブにおける朝永ラッティンジャー液体状態の直接観察

Nature 426, 6966 doi: 10.1038/nature02074

通常の3次元金属の電子輸送特性はフェルミ液体論でうまく記述できる。しかし、このような系の次元が減って1次元になると、フェルミ液体状態はクーロン相互作用に対して不安定になり、伝導電子は朝永ラッティンジャー液体(TLL)理論に従ってふるまうはずである。このような状態は、電子の相関関数、状態密度、そして、運動量分布に相互作用に依存する異常な指数となって現れる。金属性の単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、TLL状態を実現する理想的な1次元系と考えられている。事実、金属‐SWNT接合やSWNT‐SWNT接合で行われた輸送測定の結果は、TLL中への、あるいはTLL間のトンネル効果で説明されている。しかし、その解釈にはいくつかあいまいな点が残っている。SWNTの電子状態を直接観察すれば、これらの不確定性を解決できる。本論文では、SWNTの角度積分した光電子放出測定の結果を報告した。その結果、1次元van Hove特異点が原因となってπ電子の状態密度が振動することを明らかにし、価電子バンドの1次元性を確かめた。スペクトル関数とフェルミ準位における強度は、いずれも、SWNTのTLL状態に関する理論予言とよく一致するほぼ同じ指数のべき乗則にしたがったふるまいを見せる。

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