Letter 神経科学:ヒトの空間ナビゲーションを担う神経細胞ネットワーク 2003年9月11日 Nature 425, 6954 doi: 10.1038/nature01964 齧歯類の海馬の場所細胞は、哺乳類における神経活動と複雑な行動の相関の最も顕著な例の一つである。この場所細胞は、動物が周辺環境中の特定の領域を通過した際に発火率が増加するという性質を持ち、状況依存的な周辺環境地図の役割を果たす。神経イメージングの研究によると、ヒトではナビゲーションに海馬と海馬傍回領域が関わっていることが示唆されている。しかし、これらの領域は視覚刺激にも選択的に反応する。それゆえ、齧歯類における位置情報の符号化はヒトのそれと相同なのか、あるいはヒトのナビゲーションは別の視覚刺激に基づく神経機構によって行われているのかはまだ明確にされてはいない。我々は仮想の街を探索・通過中のヒトの被験者の側頭葉内側部および前頭葉の317個の神経細胞から直接応答を測った。本論文では、ヒトの空間ナビゲーションの符号化は、特定の空間的位置に応答する神経細胞および目印となる物体の光景に応答する神経細胞に基づいてなされているという証拠を示す。前者の細胞は主に海馬に、後者の細胞は海馬傍回領域に存在する。前頭葉と側頭葉の細胞は、被験者がたどり着こうとしている目的地、そして場所と目的地と見える景色の組み合わせに対して反応した。 Full Text PDF 目次へ戻る