Letter 気候:中央ヨーロッパにおける大規模洪水の発生率に上昇傾向はみられない 2003年9月11日 Nature 425, 6954 doi: 10.1038/nature01928 大規模な河川洪水は、ヨーロッパにおいて過去何百年にもわたる大きな自然災害である。人間活動による最近の大気組成変化の放射効果が、気候変動、特に洪水リスクの上昇につながる水循環を増進する原因と考えられている。しかし過去数十年間のヨーロッパにおける観測結果からは、洪水発生率に明瞭な上昇傾向は認められない。本論文では、中央ヨーロッパ最大級の河川であるエルベ川とオーデル川における冬期および夏期に発生した洪水の長期記録を報告する。過去80〜150年間には、両河川の冬期の洪水発生率には低下傾向が認められたが、夏期の洪水には何らかの傾向は認められず、大規模降雨についても同様で傾向は認められなかった。冬期洪水発生率の低下は部分的には、強度の凍結が少なかったことに帰することができる。これは強度の凍結の後には、春先に砕けた河氷が水流の障壁として機能し、洪水の規模を極めて大きくするおそれがあるからである。また今回、16〜19世紀の洪水発生率に有意の長期的変化が認められることから、我々は河川長の短縮、貯水池の造成、森林伐採が洪水発生率に及ぼす影響はわずかであると結論する。 Full Text PDF 目次へ戻る