Letter 考古学:エルサレムのシロアム地下水路の放射年代測定 2003年9月11日 Nature 425, 6954 doi: 10.1038/nature01875 聖書の記述の歴史的信憑性については、鉄器時代の考古学的発見と比較されるときにしばしば論争が起こる。原則的には、現在の科学的手法を使って、聖書に記載のあるものとみられる建造物に独自に年代測定を行えば、それが歴史上実在したものかどうかを評価できると思われる。しかし実際には、考古学的な保存状態が悪かったり、該当物だとする認定に疑いがあったり、年代を特定できる検体材料が不足していたり、該当物だとわかっていても神聖な場所であるため科学的調査が制限されているなどの理由により、このような方法は非常に難しい。こうした問題があるため、聖書に記述のある建造物に該当するとわかっているものに放射年代測定を行った例は今までなかった。本論文では、放射性炭素およびU-Th(ウラン−トリウム)によるシロアム地下水路の年代測定結果を報告し、これが鉄器時代II期にあたることを示す。我々は、聖書の記述はシロアム地下水路の建造を正確に記した歴史的記録だとの結論に達した。シロアム地下水路は中間に竪抗のない古代地下水路としては最長のものの1つであることから、この地下水路の年代測定はこの技術革新が起こった場所や年代を決定する重要な手がかりとなる。またシロアム地下水路の年代測定結果から、この水路が紀元前2世紀につくられたとする主張も誤りであることが証明された。 Full Text PDF 目次へ戻る