Letter 生態:多数の雄を含む霊長類社会で見られる真の父性養育行動 2003年9月11日 Nature 425, 6954 doi: 10.1038/nature01866 雄の父性養育行動は哺乳類ではまれにしか見られないが、霊長類オナガザル類種の多くは雄の成獣が赤ん坊や若齢個体の世話をする。この世話は、グルーミング、だっこやおんぶ、対立関係に遭遇した子への応援、子殺しからの保護といった形をとることが多い。これらの行動を真の父性養育行動だと解釈するには、雄は自身の子を直接、選択的に世話していなければならず、この世話が適応度にとって有益なものでなければならない。複数の雄と複数の雌からなる社会集団で暮らす霊長類の雄では、雄が自分の子と思われる赤ん坊を子殺しから守る場合を除いて、自分の子に対して選択的に直接働きかける養育行動はこれまで見られていない。我々は野生のサバンナヒヒ(Papio cynocephalus)の集団で75個体の若齢個体の父親を特定し、父性養育行動の一形態として、若齢個体に代わって成獣雄が対立関係に仲裁に入る場合のデータを集めた。本論文では、雄成獣が自分の子と自分と血のつながらない若齢個体とを区別し、対立関係で争いが起こった場合に自分の子を選択的に応援することを報告する。争いでの応援は子が高い順位を獲得するのに役立ったり、まだ若い個体を損傷やストレスから守ったりするとみられるので、雄のこの行動は真の父性養育行動だと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る