Letter 環境:土壌の炭素の安定性と交代に対する窒素の付加がもたらす様々な効果 2002年10月31日 Nature 419, 6910 doi: 10.1038/nature01136 土壌は、陸上の炭素の、地表近くにある最大の貯蔵庫となっている。このため、土壌の炭素貯蔵と交代を支配している要因を知ることが、全球炭素循環の変化を理解するには不可欠である。土壌の炭素分解に対する気候の影響はよく実証されている。一方、主に農業で使われる肥料と化石燃料の燃焼によって生じる反応性窒素が全球で急速に増加する場合、土壌の炭素の動的性質がどう応答するのかについては、かなりの不確定性が残っている。ここでは、長期にわたり窒素で肥沃化させた区画の土壌の炭素に対する、14C、13C及び化合物を特定した解析を用いて、窒素を加えたことは土壌の炭素の軽い部分(交代時間が10年程度)の分解を加速させたが、より重く鉱物と関連する土壌の炭素化合物の部分(数十年から百年の寿命を持つ)はさらに安定化させたことを示す。このような異なった土壌の貯蔵庫の動的性質に見られる変化にもかかわらず、全体の土壌の炭素には顕著な変化は見られなかった。これは土壌の炭素の環境条件の変化に対する応答を調べるために現在でも広く用いられている単一貯蔵庫の手法に内在する限界を強調する結果となっている。ここで比較的高濃度で短期に肥料を加える条件下で観測された効果が、大気中からの堆積により自然の生態系に低濃度で長期にわたり窒素が加わることによって生じる効果と同じかどうかはまだ分からない。しかし、それにもかかわらず我々の結果は、陸上の炭素循環に対する現在のモデルは、窒素の存在量と土壌の炭素貯蔵の間の複雑な関係を捕らえるのに必要な機構を包含していないことを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る