Letter 細胞:線虫での神経変性には、特異的なアスパルチルプロテアーゼとカルパインプロテアーゼが必要である 2002年10月31日 Nature 419, 6910 doi: 10.1038/nature01108 多くのヒト神経変性疾患の病理には、細胞の壊死がかかわっている。線虫Caenorhabditis elegansでは、degenerin遺伝子deg-1、mec-4、アセチルコリン受容体チャネルサブユニット遺伝子deg-3、G5タンパク質αサブユニット遺伝子gsa-1のような特異的イオンチャネル遺伝子の機能獲得変異によって、変異タンパク質を発現するニューロンにおいて変性性の細胞死(壊死に類似)に似たパターンの細胞死が起こる。このような細胞死の過程にある細胞では、細胞外カルシウムの流入あるいは小胞体内の貯蔵カルシウムの放出のどちらかによって細胞質カルシウム濃度が上昇し、これが主たる細胞死シグナルとなると考えられている。しかし、カルシウムが細胞死を引き起こす生化学機構は、ほとんど解明されていない。ここでは、線虫のさまざまな遺伝子破壊によって起こる神経変性に、カルシウムで制御されるカルパインプロテアーゼCLP-1とTRA-3、およびアスパルチルプロテアーゼASP-3とASP-4が必要なことを報告する。今回の結果は、細胞の壊死に2つの異なった種類のプロテアーゼが関わっていることを示しており、細胞内カルシウム濃度の変動によってタンパク質分解の調節が行えなくなって神経変性が引き起こされることが示唆される。ヒトでも同様なプロテアーゼが細胞の壊死に関与している可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る