Letter

遺伝:染色体全体のSNP解析から明らかになったマラリア原虫Plasmodium falciparumの起源の古さ

Nature 418, 6895 doi: 10.1038/nature00836

ヒトマラリア原虫集団は、最近(約3,000〜5,000年前)きびしいびん首効果を経験したとするマラリアのイブ仮説がきっかけで、マラリア原虫の起源や進化の議論が盛んになっている。この仮説によればマラリア原虫集団は比較的均質ということになり、マラリア抑制対策から見れば好都合と言える。しかし、マラリア原虫の起源は古く、集団規模は十分に大きいとする研究もある。このイブ仮説を検証すべく、マラリア原虫の第3染色体上の204遺伝子について、一塩基多型(SNP)の解析を行った。5系統のクローンから多型の見られる部位を403か所(内訳はSNP238、マイクロサテライト165)を同定し、染色体全域にわたるハプロタイプを明らかにし、約2.3 キロ塩基当たり1個の多型マーカーを記した緻密な地図を作製した。同義SNPと非コード配列中のSNPに基づいて、我々は最も新しい共通祖先はおよそ100,000年から180,000年前と推定した。これは、仮説でびん首効果が起こったとしている時期よりも相当に古い。我々が推定したこの分岐の時期はヒト集団の拡大の時期とほぼ一致し、マラリア原虫が遺伝的に複雑で宿主の免疫系や種々の抗マラリア対策をうまく逃れる事実とも矛盾しない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度