Letter 発生:形態進化における発生学的な制約と柔軟性 2002年4月25日 Nature 416, 6883 doi: 10.1038/416844a 進化発生生物学の登場により、進化研究の重点は自然淘汰によって生じた多様な表現型を分類することから、その多様性が生じる仕組みを発生を通じて解明することへ移行してきた。ある形態は別の形態よりも生じやすく、発生機構は形態進化を制限または誘導しうる。このようなバイアスは集団がどれほど迅速に自然淘汰に対応できるかを決定し、形態進化が停滞することや想定可能ながら実在しない形態があることを説明するものだとされてきた。進化上の制約については多くの議論がなされてきたが、それらを直接調べた実験的データはあまりない。チョウの翅のパターンに見られる顕著な多様性は、形態進化の受ける制約が小さいものでありうることを示唆している。しかしながら、同じ要素が連続して繰り返す翅のパターンの発生学的性質は進化的変化の方向性に制限されたものもある可能性を示唆している。ここで我々は、ジャノメチョウの一種Bicyclus anynanaにおいて、個々の目玉模様が発生学的に連関していながら、独立に変化しうる潜在能力に富むことを示す。この柔軟性は、種間での翅パターンの多様性を説明でき、現存の多様性を作り出している機構では内在の制約よりもむしろ自然淘汰が主な役割を担っていることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る