Letter 細胞:DNMT1とDNMT3bはヒト癌細胞で協同して遺伝子サイレンシングを行っている 2002年4月4日 Nature 416, 6880 doi: 10.1038/416552a 癌抑制遺伝子の不活性化は、ヒトで普通に見られる癌の発生の殆どで重要な役割を持っている。この不活性化は、遺伝子内の変異というよりはむしろ高メチル化を伴う後成的な遺伝子サイレンシングに起因することが多い。ヒトの細胞では、座位特異的または全体的なメチル化パターンの基礎となるメカニズムは明らかになっていない。DNAメチル基転移酵素の基本形に近いDnmt1は、マウス細胞においてほとんど全てのメチル化に関わっている。しかし、DNMT1を欠くヒト癌細胞では、相当度のゲノムのメチル化とそれに伴う遺伝子サイレンシングが起こる。我々は、ヒト結腸直腸癌細胞系列において、ヒトDNMT3b遺伝子を破壊した。この遺伝子の欠損によって、全体的なメチル化の減少は3%に至らなかった。しかし意外なことに、DNMT1とDNMT3b遺伝子の両方を破壊するとメチル基転移酵素活性は殆ど消失し、ゲノムDNAのメチル化が95%以上減少した。この著しい変化により、反復配列の脱メチル化、インスリン様成長因子II(IGF2)のインプリンティングの消失、癌抑制遺伝子p16INK4aの遺伝子サイレンシング解除、そして細胞増殖抑制が起こった。本論文で我々は、ヒト癌細胞では2つの酵素が協同してDNAメチル化と遺伝子サイレンシングを行っていることを示し、このようなメチル化が腫瘍性増殖を最適化するのに非常に重要であるという極めて有力な証拠を挙げている。 Full Text PDF 目次へ戻る