Letter 医学:自然分泌性βアミロイドタンパク質オリゴマーは、in vivoで海馬における長期増強を強く阻害する 2002年4月4日 Nature 416, 6880 doi: 10.1038/416535a アルツハイマー病の発症にβアミロイドタンパク質(Aβ)が中心的な役割を果たしていることを示すデータは数多くあるが、神経毒性を示すAβの種類とそれがシナプス機能に及ぼす作用がin vivoでは明らかにされていないためもあって、アミロイド説については議論が分かれている。ここでは、ヒトAβの生成後すぐに細胞内の特定の小胞中でAβオリゴマーが形成され、細胞外に分泌されることを報告する。このオリゴマーと大量のAβ単量体を含むがアミロイド細線維は含まない細胞培養液をin vivoでラットの大脳に微量注入すると、海馬における長期増強(LTP)が著しく阻害された。Immunodepletionによって培養液からあらゆる種類のAβを除くと、この阻害作用がまったく起こらなくなった。インスリン分解酵素はAβ単量体を分解するがオリゴマーは分解しないが、この酵素で培養液を前処理してもLTPの阻害は防げなかった。このようにAβオリゴマーは、Aβ単量体やアミロイド原線維がなくても、ヒトの脳や脳脊髄液中に見られる程度の濃度でシナプス可塑性をin vivoで阻害する。また、細胞をγ‐セクレターゼ阻害剤で処理すると、かなり多量のAβ単量体が生産できる程度の量でもオリゴマー形成は阻害され、この細胞培養液ではLTPは阻害されなくなった。シナプス毒性をもつAβオリゴマーが、治療法の標的になる可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る