Letter 発生:軟骨魚類における鰭の発生と脊椎動物の四肢の起源 2002年4月4日 Nature 416, 6880 doi: 10.1038/416527a 近年発見された化石からの知見と、ニワトリ胚やマウス胚での実験解析により、四肢動物の二対の肢が一対の長い鰭の分割により進化したものだとする「鰭ヒダ説」が再注目され始めている。そこで我々は走査型電子顕微鏡を用いて、原始的な軟骨魚類Scyliorhinus canicula(トラザメの一種)の鰭の発生を観察し、さらに高等脊椎動物で四肢の位置の決定、アイデンティティーの決定、パターン形成に関与することが知られているそれぞれの遺伝子の発現を調べた。トラザメ胚において体側に鰭ヒダの形成は確認できなかったが、Engrailed-1の発現パターンは体が背側と腹側に区画化されていることを示唆していた。さらに、前肢と後肢への特定化は高等脊椎動物と同様にTbx4とTbx5遺伝子を介して起こることも分かった。一方、高等脊椎動物とは異なり、トラザメの鰭原基では、dHand(Shhの発現確立に関わる遺伝子)が発現しているにも関わらずShhの転写産物が認められなかった。S.caniculaでは、鰭の主軸が体軸に並行に形成されているとされている。一説では、この鰭の主軸を体壁から独立させ、四肢の主軸として確立させることが、四肢動物の肢の進化上重要な段階であるとされている。我々はShhがこの過程において重要な役割を担っている可能性を提唱する。 Full Text PDF 目次へ戻る