Nature

Cover Story: 絵に描いたような修復:コンピューター生成マスクを使って油彩画を修復する

Nature 642, 8067 (2025年6月12日)

世界中の美術館や画廊には膨大な数の絵画が所蔵されているが、その多くは劣化や損傷のために保管庫に眠ったままである。絵画修復は手間も費用もかかるプロセスであり、それだけ難易度が高いのは、数千もの複雑な傷や汚れが存在することが多いためである。これまで修復作業の指針にはデジタルスキャンやデジタル復元が用いられてきたものの、コンピューター上で修復した画像を実際の作品に適用する簡便な方法は存在しなかった。今週号ではA Kachkineが、コンピューターで生成した復元画像を可逆性のある物理的修復へと変換して、修復に要する時間とコストを大幅に削減する手法を提示している。この手法では、まず作品をデジタル化して損傷箇所を特定する。次に、生成モデルを用いて修復後の見え方を予測し、必要な変更をラミネートマスクに印刷する。そして、完全に着脱可能なマスクを元の絵画に貼り付けることで、絵画は元の輝きを取り戻す。表紙は、プラド美術館所蔵の『東方三博士の礼拝』を描いた匿名の名手作とされる15世紀の油彩画を、損傷した作品のスキャン画像と修復完了後の作品の画像の比較で示している。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

その他のNature 著者インタビュー

Nature Café

ネイチャー・リサーチが主催するサイエンスカフェです。グローバルな視点から様々な分野のサイエンスについて、カジュアルな雰囲気の中、一緒に語り合います。

その他のイベント

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