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ハイゼンベルグ反強磁性体における交換エネルギーの超高速光誘起ダイナミクスをプローブする

Nature Photonics 9, 8 doi: 10.1038/nphoton.2015.121

超短光パルスを用いて固体の巨視的な相を操作することによって、金属–絶縁体転移、超伝導、サブピコ秒磁気秩序変化など、注目すべき現象が観測されてきた。この研究領域の発展は、凝縮物質における基本的な相互作用、特に交換相互作用の理解と光学的制御に強く依存している。しかし、交換エネルギーEexに対する交換相互作用とスピンダイナミクスの寄与に関わる時間スケールを分離することは困難である。今回我々は、フェムト秒誘導ラマン散乱法を導入して、ブリルアンゾーンの端における磁気励起の超高速光誘起ダイナミクスを解明している。我々は、反強磁性体KNiF3をフェムト秒レーザーで励起すると、エネルギーがEexに比例する2マグノン線のスペクトルシフトが起こることを見いだした。また、支配的な非線形光学効果に由来する2マグノン線周波数の光誘起変化を解明することで、Eexが電磁刺激によって増加することを見いだした。

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