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分子レベルで行われたアインシュタイン–ボーア反跳二重スリット思考実験

Nature Photonics 9, 2 doi: 10.1038/nphoton.2014.289

二重スリット実験によって、波と粒子の相補性の本質的な証拠が示される。粒子が「どちらのスリットを通ったか」という情報がなければ、粒子は波としてふるまい、同時に両方のスリットを通過する。「どちらのスリットを通ったか」という情報が存在すれば、この波のようなふるまいと、それに対応する干渉はなくなる。波と粒子の二重性に関するアインシュタインとボーアの論争の核心は、粒子と反跳スリットの間の運動量移行によって、経路が指定され、ひいては干渉が壊れるかどうかであった。スリットの反跳を測定するには、スリットは独立して動かなければならない。我々は、平衡に近い形状の酸素分子(つながったスリット)と平衡から離れた解離状態の酸素分子(離れたスリット)からの共鳴X線光電子放出によって、この反跳二重スリット思考実験を具体化したことを示す。前者のつながったスリットの場合は、干渉が観察される。一方、後者の離れたスリットの場合、電子の運動量の移行によって干渉が消える。これは、反対向きに進む原子スリットのドップラーラベリングによるものである。今回の結果は、ボーアの相補性と完全に一致する。

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