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マルチモードファイバーにおける主モードとしてのEisenbud–Wigner–Smith状態の観測

Nature Photonics 9, 11 doi: 10.1038/nphoton.2015.188

一般的に光は、不規則媒質やマルチモード導波路を伝搬する際、複数の空間経路の間で結合するため、時間的・空間的に散乱される。このため、光がそうした媒質を通り抜けた後に得られるパルス持続時間と空間コヒーレンスが制限される。Eisenbud–Wigner–Smith固有状態は、伝搬時に空間的・時間的に散乱されるにもかかわらず、時間的に散乱されない出力で到達するという独特な入力/出力状態で、もともとは核散乱において提唱されたものである。ファイバー光学では、パルスと空間コヒーレンスを損なうはずの媒質を伝搬するにもかかわらず、パルスと空間コヒーレンスが維持される主モードとしてこうした状態が現れる。こうした状態によって、複屈折物体における高速/低速直交軸の現象が、N本の軸を持つ基底に一般化される(Nは散乱媒質における空間/偏光モードの総数)。我々は、伝搬媒質として長さ100 mのマルチモードファイバーを用いて、主モードの存在を実験的に実証している。

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