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二次元原子結晶における強い光–物質結合

Nature Photonics 9, 1 doi: 10.1038/nphoton.2014.304

グラフェンや遷移金属ジカルコゲナイドの二次元原子結晶は、光と強い相互作用を示す物質であることが明らかになっている。そうした物質を光マイクロ共振器に埋め込めば、この光–物質相互作用をさらに制御できる。光と物質からの散逸よりも相互作用の速度が速くなるよう設計すると、「強結合」領域に達する。これによって、マイクロ共振器ポラリトンと呼ばれる半分光で半分物質のボーズ準粒子が生成する。今回我々は、室温の誘電体マイクロ共振器の内部に埋め込まれた二硫化モリブデン(MoS2)の二次元原子結晶における、強い光–物質結合の証拠とマイクロ共振器ポラリトンの生成について報告する。二次元励起子と共振器光子の結合に起因して、角度分解反射・発光スペクトルに46±3 meVのラビ分裂が観測されている。乱れのないポテンシャルランドスケープをもたらす二次元物質において室温で強い結合を実現することによって、実用的なポラリトロニックデバイスを開発する魅力的な手段が得られる。

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