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電力変換効率を向上させた3成分ブレンドポリマー太陽電池

Nature Photonics 8, 9 doi: 10.1038/nphoton.2014.172

光吸収スペクトル領域を広げてバルクヘテロ接合太陽電池の電力変換効率を向上させるために、3種類の有機成分の利用が現在追求されている。今回我々は、ポリ–3–オキソチエノ[3,4–d]イソチアゾール–1,1–ジオキシド/ベンゾジチオフェン(PID2)とポリチエノ[3,4–b]–チオフェン/ベンゾジチオフェン(PTB7)という2種類のドナーポリマーと、[6,6]–フェニルC71酪酸メチルエステル(PC71BM)というアクセプターを含有する3成分ブレンドポリマー太陽電池について報告する。作製した3成分太陽電池は、電力変換効率が8.22%、短絡電流密度(Jsc)が16.8 mA cm–2、開回路電圧(Voc)が0.72 V、曲線因子が68.7%であった。我々は、光吸収の拡大に加えて、3成分系のカスケード型エネルギー準位とデバイス形状最適化に起因して、電荷分離と輸送が促進され、電荷再結合が抑制されるため、Jscが向上することも示している。今回の成果は、さらにデバイスの工夫と最適化を行えば、3成分ブレンド太陽電池が高性能2成分ポリマー太陽電池より優れたものとなる可能性があることを示している。

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