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新たな近赤外ウィンドウでの脳の頭蓋骨透過蛍光イメージング

Nature Photonics 8, 9 doi: 10.1038/nphoton.2014.166

脳イメージングは、これまで主にX線CTと磁気共鳴血管造影法で行われてきたが、こうした方法は空間分解能が制限され、走査にかかる時間も長かった。可視光と従来の近赤外領域(400~900 nm)での蛍光による脳イメージングは、これに代わる方法であるが、今のところこの方法には、開頭術や頭蓋窓、頭蓋骨を薄くする技術が必要であり、光の散乱のために透過深さが1~2 mmに制限されている。今回我々は、開頭術が不要な、マウス脳血管系の頭皮・頭蓋骨透過蛍光イメージングを報告する。この方法は、1.3~1.4 µmの近赤外ウィンドウ(NIR-IIaウィンドウ)における、単層カーボンナノチューブの固有光ルミネセンスを利用している。このスペクトル領域では光子散乱が減少し、マウス脳において、10 µm以下の空間分解能で2 mmを超える深さまで蛍光イメージングが可能になる。イメージング速度は毎秒約5.3フレームで、脳血管の血液灌流を十分な時間分解能で動的に記録でき、マウス中大脳動脈閉塞脳卒中モデルでの血流異常のリアルタイム判定が可能になる。

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