Article

標準量子限界を10倍上回る位相感度を実現する小さなスピン測定反作用

Nature Photonics 8, 9 doi: 10.1038/nphoton.2014.151

量子現象に基づく検出器の精度は、基本的な量子雑音によって制限される。例えば、原子時計は通信、航法、基礎物理の検証に応用できるが、その究極的な精度も基本的な量子雑音によって制限される。多数の量子スピンの集団測定は、その集団をもつれたスピン・スクイーズド状態に射影することができ、量子的に制限された測定分解能が改善される。しかし、これまでの集団測定では、測定の反作用のため、測定精度の改善は大きくなかった。今回我々は、測定の反作用が小さな集団測定を実験的に実証し、最初のもつれていないN=4.8×10587Rb原子の集団と比較して、バックグラウンド雑音を取り除かずに、分散が10.5(1.5)倍、つまり10.2(6)dB改善された位相分解能を持つスピン・スクイーズト状態を作り、直接観測した。この測定には、共振器で強められたプローブ光による循環遷移を使っており、プローブ光によって生じる、状態を変化させる遷移に伴う反作用を軽減している。今回の結果は、集団測定が、精密測定に役立つ量子もつれを生成できる強力な手法であることを立証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度