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カーボンナノチューブナノ複合材料による光音響変換に基づくテラヘルツパルス放射の効率的なリアルタイム検出

Nature Photonics 8, 7 doi: 10.1038/nphoton.2014.96

テラヘルツセンシングは、工業、生物学、材料科学において重要な役割を果たす。テラヘルツ検出を行う既存の手法のほとんどは、大きな光学機器か極低温冷却が必要であり、冷却されていない熱検出器には長い積分時間(1~1,000 ms)という難点があることが多い。我々は、テラヘルツパルス放射の光音響検出に基づく新しい方式を提案し、実験的に実証している。テラヘルツパルスエネルギーの吸収によってカーボンナノチューブ–ポリマー複合材料が過渡的かつ局所的に加熱されて超音波が発生し、次に発生した超音波が極めて感度の高い音響センサーによって検出される。熱の連続積分を用いる従来型の熱検出器とは対照的に、この新しいテラヘルツ検出方法は、時間ゲート法によって個々のテラヘルツパルスのエネルギーに応答するため、環境からの連続放射に応答しない。さらに、この新しい検出器には、室温で作動し、リアルタイム検出を可能にする高速応答(約0.1 μs)を示し、小型(ミリメートルスケール)でスペクトル応答の幅が広いなどの利点がある。

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