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熱活性化遅延蛍光を利用した高効率青色有機発光ダイオード

Nature Photonics 8, 4 doi: 10.1038/nphoton.2014.12

熱活性化遅延蛍光(TADF)を利用した有機発光ダイオード(OLED)は、貴金属系ドーパントを有する高性能リン光OLEDに代わる安価なOLEDとして現れた。しかし、青色TADF OLEDの効率は依然として高輝度時に低いため、フルカラーディスプレイの開発が制限されている。今回我々は、9,10-ジヒドロアクリジン/ジフェニルスルホン誘導体を含む青色OLEDについて報告する。この青色OLEDの性能は、現在最高性能のリン光OLEDに匹敵し、高輝度時の外部量子効率は19.5%で、効率ロールオフ特性が小さい。我々は、コンピューターシミュレーションを通して、6種類のねじれた分子内電荷移動(CT)型分子を特定した。この6種類の分子は、一重項–三重項CT状態分裂は小さいが、3CT状態と局所励起三重項(3LE)状態のエネルギー関係が異なる。それらの分子の励起状態ダイナミクスを系統的に比較したところ、ピーク発光エネルギーが十分高く、3LE状態が3CT状態よりも高い場合に、ねじれ角の大きいCT分子が高効率で短寿命(数マイクロ秒)のTADF発光を示すことが明らかになった。

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