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分子の伸張力の検出によるティップ増強赤外ナノ分光

Nature Photonics 8, 4 doi: 10.1038/nphoton.2013.373

分子指紋領域での中赤外吸収分光法は、赤外吸収スペクトルデータベースを使った化学同定と定量分析に広く使われている。ナノメートルの空間分解能で中赤外分光を行う能力は、材料科学や生命科学での応用では極めて有益である。現在、周囲条件下でのナノスケールの中赤外分光の最も高感度な手法は、散乱型近接場走査型顕微鏡であると考えられている。今回我々は、光励起によって分子から原子間力顕微鏡ティップに働く力学的な力を検出して、散乱型近接場走査型顕微鏡と同等以上の高い感度で、ナノスケールの中間赤外スペクトルを取得できることを実証している。力学的に中赤外ナノ分光を行うこの方法は、散乱型近接場走査型顕微鏡とは違って、極低温に冷却した中赤外検出器を必要としないため光学装置が簡単になり、調整が容易で、試料による散乱に影響されない。

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