Article

動的ブロッホ振動によるテラヘルツ高調波発生のサブサイクル制御

Nature Photonics 8, 2 doi: 10.1038/nphoton.2013.349

強いバイアスをかけた半導体における超高速電荷輸送は、高速エレクトロニクス、電子光学、基礎固体物理学の中核となっている。テラヘルツスペクトル領域の高強度光パルスは、興味深い展望を開いてきた。テラヘルツ光子のエネルギーは典型的な電子バンド間共鳴よりずっと低いので、安定な電磁波形は精密に調整できるバイアスとして働く可能性がある。原子場強度に達するテラヘルツ振幅について、新しい量子現象が予想されてきた。我々は、ピーク場72 MV cm-1の制御された(マルチ)テラヘルツ波形を利用して、ガリウムセレン半導体においてコヒーレントなバンド間分極と動的ブロッホ振動を駆動している。こうしたダイナミクスは、位相安定高調波過渡現象の発光を伴い、0.1~675 THzのテラヘルツから可視スペクトルまでの全領域をカバーする。加速された電荷キャリアのさまざまなイオン化経路の量子干渉が、駆動場の波形を介して制御され、バンド間ダイナミクスとバンド内ダイナミクスの量子論によって説明される。今回の結果は、全コヒーレント・テラヘルツレート・エレクトロニクスに向けて道を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度