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サブサイクル時間分解能を持つ超高速マルチテラヘルツナノ分光法

Nature Photonics 8, 11 doi: 10.1038/nphoton.2014.225

情報に富むテラヘルツスペクトル領域における位相ロック超短パルスによって、量子閉じ込め、一次相転移、高温超伝導、ナノ材料のキャリア輸送などさまざまな現象に関する重要な知見が得られている。数サイクル場の過渡現象の超広帯域電気光学サンプリングによって、光の1振動周期よりも速く起こる新規ダイナミクスすらも明らかにできる。しかし、従来のテラヘルツ分光法は、回折限界によって本質的にアンサンブル測定に限定される。その結果、ナノ粒子、ナノ結晶、ナノドメインのサイズ、構造、配向、密度に対して平均化された誘電関数を測定することになる。今回我々は、サブサイクル場分解検出(10 fs)と散乱型近接場走査光学顕微鏡法(s-NSOM)を組み合わせることによって、超広帯域時間分解テラヘルツ分光法をサブナノ粒子のスケール(10 nm)に拡張している。我々は、3つの空間次元全てで光励起された1本のInAsナノワイヤーの表面の時間依存誘電関数を追跡し、局所キャリア空乏層が超高速(50 fs未満)で形成されることを明らかにしている。

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