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光音響透過マトリックスを用いて非侵襲的に散乱媒質中の光を制御する

Nature Photonics 8, 1 doi: 10.1038/nphoton.2013.307

強散乱媒質中で光を操作する強力な手段として、光波面整形法が報告されている。光波面整形法によって、従来の顕微鏡法では実現できない深部における、回折限界の集光やイメージングが可能になる。しかし、これまで、波面整形のほとんどの例ではターゲットや埋め込みプローブを直接利用しており、複雑な試料の内部に波面整形を非侵襲的に適用することが課題となっている。超音波タグ法を用いた最近の成功例もあるが、こうした方法は、各測定において音響的にタグ付けされた小体積を扱えるにすぎない。今回我々は、標準的な光音響イメージング装置を用いて、複雑なサンプル内部において広い体積にわたって光透過マトリックスを非侵襲的に測定できる方法を報告する。我々は、散乱媒質特性の抽出だけでなく、拡散性試料を通した吸収ターゲット上での検出、位置確認、選択的集光に、このマトリックスを使用した例を示す。透過マトリックス法と光音響イメージングの長所を組み合わせることによって、内因性の光コントラストを利用した深部組織イメージングや導光への道が開かれる。

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