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ホスフィン配位ルテニウム増感剤を利用した広帯域色素増感太陽電池

Nature Photonics 7, 7 doi: 10.1038/nphoton.2013.136

低炭素社会の実現には、安価な再生可能エネルギーが必要である。有機薄膜太陽電池や色素増感太陽電池(DSSC)などの有機光起電力素子は、安価な太陽電池を実現するための有望な候補である。しかし、従来の無機太陽電池と比較すると、デバイス効率が依然としてかなり低い。有機光起電力素子の性能を向上させるには、有機化合物の吸収を長波長側に拡張する方法が必要である。今回我々は、ホスフィン配位Ru(II)増感剤DX1における近赤外のスピン禁制一重項-三重項直接遷移を利用した高効率DSSCについて報告する。DX1を用いたDSSCでは、26.8 mA cm−2の光電流密度が得られた。これは有機光起電力素子についてこれまで報告された中で最高の値である。また、DX1と従来の増感剤N719の両者を利用したタンデム型DSSCは、35.5 mW cm−2の模擬太陽光の下で、12%を超える電力変換効率を示すことが明らかになっている。

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