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シリコンナノフォトニックスペクトル変換で中赤外域と通信波長帯を橋渡しする

Nature Photonics 6, 10 doi: 10.1038/nphoton.2012.221

シリコンナノフォトニック集積回路プラットフォームは、従来の通信波長帯での応用にとどまらず、光相互接続にも応用範囲を広げているが、2~8μmのスペクトル範囲で動作する、高性能な中赤外域光システムへの応用においても優れた利点がある。そうしたシステムは、産業や環境のモニタリング、爆発物の探知、医療診断、自由空間通信に応用される可能性がある。にもかかわらず、チップスケールのシステムの進歩は、中赤外域光子の検出にこれまで使われてきた、バンドギャップの狭い半導体のために遅れている。Eg/kTに指数関数的に依存する暗電流雑音を抑えるために極低温冷却や多段階の熱電冷却が必要であることが、小型で低電力の中赤外域集積システムの開発を制限している可能性がある。しかし、中赤外域のシグナル光がより短い波長へスペクトル変換されれば、バンドギャップの広い光検出器を使って、妨げになっている冷却システムを使わずにすむかもしれない。さらに、そうした検出器は、中赤外域の検出器よりも検出能力が高く、帯域幅も広いことが多い。今回我々は、シリコンナノフォトニックワイヤーにおける効率の高い四光波混合を使って、2,440 nmのシグナル光を1,620 nmの通信波長帯へスペクトル変換した。周波数差は62 THzになる。さらに、19 dBのパラメトリック変換利得が同時に得られ、弱い中赤外域シグナル光に対する感度を著しく高めることができた。

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