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超音波パルスに導かれたデジタル位相共役によって弾道成分で可能な範囲を超える蛍光イメージング

Nature Photonics 6, 10 doi: 10.1038/nphoton.2012.205

蛍光イメージングによって、この30年間で生物医学研究は大きく進歩した。蛍光イメージングは、分子特異性が高く、単一分子レベルの感度が比類なく高いため、多くの研究分野でさまざまな難問が解決されている。in vivoでの蛍光イメージングにおける大きな制約は、生体組織内での不規則な散乱によって光波の弾道(非散乱)成分が指数関数的に減衰するため、画像化できる深さが浅いことである。今回我々は、単一サイクルパルス超音波変調と、デジタル光位相共役を組み合わせることにより、弾道成分で可能な範囲を超える蛍光イメージングについて報告する。我々は、ほぼ等方的な三次元的に局在する音波・光相互作用領域を実現できることを実証している。デジタル光位相共役系によって得られた非常に高い光学利得により、蛍光イメージングだけでなく、線形や非線形のさまざまな分光測定に十分な強度の光を、散乱性の高い媒質内部の焦点に届けることができる。この技術は、基礎的な生物学研究と臨床研究の双方において、数多くの重要な応用への道を開く。

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