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硬X線自由電子レーザーにおけるセルフシーディングの実証

Nature Photonics 6, 10 doi: 10.1038/nphoton.2012.180

線形加速器コヒーレント光源(LCLS)は、SLAC国立加速器研究所のX線自由電子レーザーであり、さまざまな科学研究を目的として2009年から稼働を続けている。LCLS の自由電子レーザープロセスは、自己増幅自発放射(SASE)に基づいており、初期電子ビームのショットノイズからの自発放射が、長い磁気アンジュレーターで電子と相互作用することによって増幅される。SASEは非常に効果的であり、きわめて強力な超短X線ビームが生成されるが、ノイズから始まるので時間コヒーレンスが悪く、スペクトルはノイズが多く幅が広い。我々は、DESYの共同研究者らが提示した新しい方法の実験結果について報告する。この方法によって、アンジュレーターの前半部のX線を用いたセルフシーディングにより、ダイヤモンドモノクロメーターを通して後半部をシードでき、8~9 keVでバンド幅0.4~0.5 eVのフーリエ変換限界に近いX線パルスが得られる。今回の結果は、オングストローム波長でのセルフシーディングを実証するものであり、SASEに対してバンド幅は1/40~1/50に減少する。

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