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分散したグラフェン単一シートの巨大な広帯域非線形光吸収応答

Nature Photonics 5, 9 doi: 10.1038/nphoton.2011.177

強いレーザー励起の下で、グラファイトやそのナノ構造体であるカーボンブラック、ナノチューブ、数層のグラフェン、グラフェン酸化物などの薄膜と懸濁液は、可飽和吸収に起因する誘導透過を示す。誘導破壊によって、非線形散乱を生じさせる微小な気泡やマイクロプラズマが発生する非常に高いフルエンスでのみ、これは光リミッティングへ切り替わる。本論文では、これとは対照的に、分散したグラフェンは、この損傷しきい値より十分低いフルエンスで強いマトリックス効果を伴う広帯域非線形光吸収を示しうることを明らかにする。可視光と近赤外光のナノ秒パルスに対して、70%の線形透過率で10 mJ cm-2という光エネルギーリミッティング開始に関する新しい基準値が得られた。これは、重原子溶媒と高分子膜マトリックスの両方で優れた出力クランピングを示す。クロロベンゼン中のナノ秒ポンプ‐プローブ分光法により、このしきい値を超えて励起密度を高くしていくと、ナノグラフェンドメインが通常の広帯域の光誘起ブリーチングから新しい逆可飽和吸収機構へと切り替わることが明らかになった。

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