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散乱媒質を通る超短パルスの集束と圧縮

Nature Photonics 5, 6 doi: 10.1038/nphoton.2011.72

不均質媒質における光散乱は波面歪みを生じさせ、多くの応用に固有の限界をもたらしている。この現象が起こる分野の例として、顕微鏡学、ナノサージェリー、天文学がある。近年、継続的な取り組みによって、波面整形技術を用いた空間的歪みの補正が可能になってきた。しかし、超短パルスを用いると、散乱によって時間的歪みも生じ、多光子顕微鏡法や量子制御実験などの非線形過程でそのようなパルスが使用できなくなる。今回我々は、入射波面の空間的自由度のみを操作することによって、空間的歪みと時間的歪みの両方の補正が可能であることを示す。また、非線形信号の最適化によって、散乱媒質を通る超短チャープパルスの時間的・空間的集束および圧縮と、脳や骨の厚い試料を通る100 fsパルスの空間的および時間的再集束を実証する。我々の結果は、散乱媒質における光学的操作と非線形イメージングに新しい可能性を開くものである。

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