Letter

散乱媒質中への超音波でエンコードした時間反転集光

Nature Photonics 5, 3 doi: 10.1038/nphoton.2010.306

集光はバイオメディカルイメージング、操作、治療の中核を担っている。散乱媒質中では、輸送平均自由行程を越える直接集光は実行不可能になる。この拡散限界を克服するために使われたこれまでの方法すべてに、実用的な内部の「ガイド星」がなかった。本論文では、散乱媒質内部の動力学的に定義した任意の位置へ光を供給する、超音波でエンコードした時間反転(time-reversed ultrasonically encoded:TRUE)集光と呼ぶ新しい概念を提案し、実験により確かめた。まず、拡散したコヒーレント光を集束超音波によりエンコードして、仮想的な内部ガイド星を生成する。エンコードした光のみが時間反転され超音波焦点へ戻される。この超音波で定義される超音波エンコード時間反転集光は、光の多重散乱の影響を受けない。このような集光は、超音波散乱が光散乱よりも約1,000倍も弱い生物組織では特に望ましい。TRUE集光は、バイオメディカル光学やコロイド光学を含むさまざまな分野で役立ちうる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度