Letter

光吸収による単一分子イメージング

Nature Photonics 5, 2 doi: 10.1038/nphoton.2010.290

今日まで、室温における単一分子の光学的研究は、蛍光量子収率の高い物質を使うと共にバックグラウンド光のスペクトルを効率よく除去することで行われてきた。単一分子の研究を、光を吸収するが蛍光を発しないずっと大きな物質パレットへ拡張するため、光熱効果、干渉法、直接減衰、誘導放出が調べられてきた。実際、最近3つのグループが光吸収における単一分子感度の実現に成功している。本論文では、吸光分光計からわかっている変調を伴わない透過率測定を用いて、周囲条件下で発光状態と強く消光させた状態双方の単一分子を画像化した。さまざまな波長において単一分子の吸収断面積に対する定量的な値が得られたことから、単一分子吸光分光法の基礎が築かれた。今回の結果は、吸光分光法や赤外分光法から単一分子レベルで非標識タンパク質のセンシングにまで及ぶ研究に大きな影響を与える。

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