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シリコン・ナノフォトニック導波路を用いた中赤外光パラメトリック増幅器

Nature Photonics 4, 8 doi: 10.1038/nphoton.2010.119

全光信号処理は、消費電力を劇的に減らし、次世代光通信ネットワークの性能を高速化するために利用される方法である。ガラスファイバーで全光機能を実現するために、四波混合やパラメトリック利得などの非線形光学効果が研究されてきた。別の方法として、シリコン導波路のナノスケール設計を利用して光学非線形性を最高で5けた高める方法があり、チップスケールの全光信号処理が可能になる。シリコン・ナノフォトニック導波路内での四波混合を利用して、通信波長帯(λ ≈ 1,550 nm)の波長変換、信号再生、チューナブル光遅延などの全光機能が実証されてきた。これらの重要な進歩にもかかわらず、通信波長帯ポンプの強い二光子吸収が基本的な障害となっており、パラメトリック利得は数デシベルに制限されている。今回我々は、寄生的な二光子吸収に関連する吸収が消えるバンドギャップエネルギーの2分の1に近い中赤外ポンプ(E ≈ 0.55 eV, λ ≈ 2,200 nm)を用いて、25.4 dBという高い広帯域利得を示すシリコン・ナノフォトニック光パラメトリック増幅器を実証する。この利得は、すべての挿入損失を補償できるほど十分高く、4 mmの超小型シリコンチップのみを用いて、13 dBという正味のオフチップ増幅率が得られる。さらに、より高次の導波路分散の設計によって、中赤外ポンプ・シリコン・パラメトリック発振器や通信波長帯の光信号用増幅器が実現できるかもしれない。

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