<p>蛍光タンパク質が細胞レベルや細胞下レベルでの生命の研究に不可欠なレポーター分子となったため、生物学の研究方法が見直されている。しかし、ほとんどの生物体や組織では、光が強く散乱されるため、数百マイクロメートルよりも深い部分を現行の蛍光顕微鏡法で調べることができない。我々は、光散乱性の高い生体の深部に存在する蛍光タンパク質を高分解能で視覚化できるマルチスペクトル光音響トモグラフィー法について報告する。この方法では、複数の投影での多波長照明と選択的平面光音響検出とを組み合わせて、人為的な影響のないデータ収集を行っている。正確な画像再構成は、組織における波長依存性光伝搬モデルを利用することによって可能となる。生物学的に重要な光散乱性モデル生物であるキイロショウジョウバエのさなぎとゼブラフィッシュの成魚の2種類について全身イメージングを行うことによって、eGFPおよびmCherry蛍光タンパク質の組織特異的発現を解像し、<I>in vivo</I>での形態学的・機能的精密観察を行う能力が実証された。</p>
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