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ボウタイ型ナノアンテナによる大規模単一分子蛍光増強

Nature Photonics 3, 11 doi: 10.1038/nphoton.2009.187

<p>単一分子などのナノスケール物体と光はサイズが整合していないため、光と分子の相互作用を制御できることが重要である。プラズモニック・ナノアンテナは、共鳴励起されると非常に強い局所場を作り出すので、ラマン散乱の増加につながるが、蛍光増強が起こるかどうかはさまざまな要因に依存している。金属の鋭い先端やコロイドは蛍光を増強しうるが、リソグラフィー法で作製されたボウタイ型ナノアンテナは非常に強い光場を生じさせ、制御しやすくかつ集積化しやすい構造体が得られる。今回我々は、金のボウタイを用いて、最高1,340倍の単一分子蛍光の増強を観測している。これは、これまでに報告されたものの10倍である。電磁シミュレーションから、これが吸収の大幅な増強と放射放出率の増加の結果であり、非放射オーミック効果が加わるにもかかわらず、約9倍の固有量子効率の増加をもたらしたことが明らかになった。このように、ボウタイ型ナノアンテナには、高コントラスト単一ナノエミッターとして大きな可能性がある。</p>

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