Article

ナノ構造基板を利用したナノメートル光ピンセット

Nature Photonics 2, 6 doi: 10.1038/nphoton.2008.78

<p>メゾスコピック物体の位置をナノメートルの精度で制御する技術は、ナノ科学を急速に進歩させるために重要である。そのような制御を実現する最も有望な手段のひとつとして、光ピンセットがある。光ピンセットは、レーザービームの焦点付近で物体を捕捉する。しかし、従来の光ピンセットの欠点として、捕捉体積が回折で制限されることや、捕捉されたナノ物体のブラウン運動が顕著なことなどがある。今回我々は、ナノ構造をもつ基板を利用して、初めて3次元ナノメートル光ピンセットを実験的に実現したことを報告する。我々は、標準的な光ピンセットの実験装置において、電磁結合させた金ナノドット対を用いて捕捉効率を著しく向上させるアレイ型サブ波長プラズモニック光学トラップを作製した。ナノドットの光近接場によって、捕捉体積が回折限界を超えて減少し、捕捉されたナノ粒子のブラウン運動が、同じ捕捉条件の従来型ピンセットと比べてほぼ1桁抑制された。我々のピンセットは、著しく低いレーザー出力で物体のナノスケール制御を可能にし、損傷しやすい生体試料のナノ操作に向けて新しい道を開くものである。</p>

目次へ戻る

プライバシーマーク制度