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フォトニック結晶共振器における波数選択性による波長精度の高い非線形変換

Nature Photonics 18, 2 doi: 10.1038/s41566-023-01326-6

集積非線形波長変換器は、レーザーや量子エミッターからの光エネルギーを他の有用な色に移すが、実現できる波長シフトの範囲が色分散によって制限される。さらに、幾何学的分散に起因して、デバイスが特定の目標波長を生成する精度が、製作公差によって低くなる。今回我々は、動作が分散エンジニアリングに左右されないにもかかわらず、出力波長の精度の高い制御を可能にする非線形波長変換器について報告する。今回のスキームでは、フォトニック結晶マイクロ共振器における対向伝搬波間の結合によって、フォトニックバンドギャップが誘起され、非線形利得について特定の波数が(分散空間において)分離される。我々は、第三高調波生成、カー・マイクロコム分散波形成、四波混合ブラッグ散乱への応用をシミュレートすることによってこの戦略の広い適用可能性を実証する。また我々は、実験において、そうした波数選択的結合によって信号モードが指定されるカー光パラメトリック発振器を実証する。結果として、目標の信号波長と実現された信号波長の差が0.3%未満になった。さらに我々は、バンドギャップによって保護された波数選択性を利用することによって、効率を損なうことなく、出力周波数を連続的に約300 GHz調整した。今回の結果は、非線形光学向けマイクロ共振器の設計方法にパラダイムシフトをもたらし、集積フォトニクスを用いた波長精度の高い光源の構築という、より大きな課題を前進させる。

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