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非接触バイタルサイン検出のためのフォトニックレーダー

Nature Photonics 17, 9 doi: 10.1038/s41566-023-01245-6

医療や健康関連の現場では、バイタルサインの検出が普遍的な状況において用いられ、接触センサーやウエアラブルセンサーが広く展開されている。しかし、そうしたセンサーは、熱傷患者や、装着面積が十分確保できない幼児には適していない。カメライメージングを用いれば非接触検出を実現できるが、周囲の光条件の影響を受けやすく、プライバシーに対する懸念もある。今回我々は、こうした課題を克服するために、非接触バイタルサイン検出用のフォトニックレーダーについて報告する。このフォトニックレーダーは、最大で30 GHz帯域幅の合成レーダー信号に基づいてミリメートルレベルのレンジ分解能を実現できる。このレーダーシステムは分解能が高いため、呼吸模擬装置や、ヒトの代理としてのオオヒキガエルから正確な呼吸検出が可能になる。さらに我々は、提案したシステムから発生した光信号によって、光検出と測距(LiDAR)に基づくバイタルサイン検出が可能になり得ることを実証する。この実証によって、レーダーとライダーの補完的な特徴を組み合わせてセンシング精度とシステムレジリエンスを向上できるセンサー統合アーキテクチャーの可能性が明らかになっている。今回の研究は、非接触高分解能バイタルサイン検出の技術的基礎をもたらし、今後の医療やヘルスケア用途の増え続ける需要を満たす。

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