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0.5~10 THz帯域における固有吸収限界に近づく極薄MXene集合体

Nature Photonics 17, 7 doi: 10.1038/s41566-023-01197-x

広帯域かつ高効率のテラヘルツ吸収膜は、次世代ワイヤレス通信、天文学、セキュリティー検査、医用画像技術などへの需要がある高性能テラヘルツ検出器に重要である。最近の研究によって、テラヘルツ波における光吸収を増強する一連の二次元材料(特に、グラフェン、遷移金属ジカルコゲニド、トポロジカル絶縁体など)が報告されている。しかし、非常に広いテラヘルツ帯域全体にわたって固有の薄膜吸収限界(50%)を達成することはまだ困難である。今回我々は、厚さ10.2 nm(約λ/30,000)の極薄Ti3C2Tx MXene集合体が、0.5~10 THz帯域全体にわたって固有の薄膜吸収限界に達しうることを実証する。こうした興味深い現象は、Ti3C2Tx MXeneにおける高濃度の自由電子(約1021 cm−3)、短い緩和時間(約10 fs)、薄片内および薄片間での独特な(ホッピング)電子輸送特性に起因するものである。今回の結果は、古典的な直流インピーダンス整合ではなく、ドルーデ・スミスモデルを用いた交流インピーダンス理論によって検証された。我々は、今回の知見が、MXeneなどを用いた広帯域テラヘルツ技術に関するさらなる研究を促し、小型のスーパーコンティニウムテラヘルツ光電子デバイスや光熱電デバイスを開発する手段をもたらすと考える。

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