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超大規模集積量子グラフ・フォトニクス

Nature Photonics 17, 7 doi: 10.1038/s41566-023-01187-z

グラフは、量子力学的なデバイスやシステムをモデル化する数学的表現手段をもたらしている。特に、標準的な量子フォトニックの枠組みとは異なる、二次元格子状のパラメトリック非線形光学結晶や線形光回路に基づく量子構成要素、量子素子、量子セットアップ、量子システムを、グラフ理論を用いて記述し設計できることが、最近見いだされた。しかし、従来の技術を実験的に用いて、そうしたグラフ理論的量子フォトニック・ハードウエアを実現することは、依然として極めて困難である。今回我々は、超大規模集積ナノフォトニック回路において、プログラム可能なグラフ理論的量子フォトニック・デバイスを実証している。このデバイスは、約2500の構成要素をモノリシックに集積し、非線形光子対導波路光源と線形光学導波路回路の人工格子を構築しており、相補型金属酸化膜半導体プロセスによって8インチのシリオン・オン・インシュレーター・ウエハー上に作製されている。我々は、この量子デバイスを再構成して、さまざまなトポロジーを持つ複素加重グラフを実現し処理するとともに、グラフの完全一致特性に関連するさまざまなタスクを実装している。我々は、2つの非自明な例として、さまざまなエンタングルメント構造を持つ真性マルチパータイト多次元量子エンタングルメントの生成と、グラフの隣接行列のモジュラスの2乗のハフニアン(パーマネント)に比例する確率分布の測定を示す。今回の研究では、任意のプログラム可能性、高いアーキテクチャーモジュール性、大規模製造スケーラビリティーを特徴とする、超大規模集積技術によって製造されたグラフ理論的量子フォトニック・デバイスのプロトタイプが実現されている。

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